エコノミークラス症候群
エコノミークラス症候群とは
エコノミークラス症候群(エコノミークラスしょうこうぐん、ECS、economy-class
syndrome、静脈血栓塞栓症)とは、肺血栓塞栓症と深部静脈血栓症をあわせた疾患概念です。
飛行機内などで長時間同じ姿勢を取り続けると発症します。
正式名称は静脈血栓塞栓症(じょうみゃくけっせんそくせんしょう)です。
エコノミークラス症候群の概説(まとめ)
エコノミークラス症候群は、下肢や上腕その他の静脈に血栓が生じる疾患です。
血栓が血流に乗って肺へ流れ、肺動脈が詰まると、肺塞栓症となります。
肺動脈が詰まるとその先の肺胞には血液が流れず、ガス交換ができなくなります。
その結果、換気血流不均衡が生じ、動脈血中の酸素分圧が急激に低下、呼吸困難をもたらします。
また肺の血管抵抗が上昇して全身の血液循環に支障をもたらします。
エコノミークラス症候群の分類、種類
- 肺血栓塞栓症
- 死亡の危険性が高い疾患。塞栓をもたらす血栓が大きい場合は即死することがあり、原因も不明な場合が多い。肺組織が壊死に陥ること(肺梗塞PI)が10〜15%に認められる。
- 深部静脈血栓症
- 深部静脈に血栓ができる病気。肺血栓塞栓症の主な原因。肝静脈に血栓ができるとバッド・キアリ症候群を起こす。
エコノミークラス症候群の症状、特徴
深部に血栓ができた場合
体の深部静脈に血栓ができた場合
血栓が飛んで肺塞栓を引き起こした場合
- 胸痛
- 呼吸困難
- 意識消失
- 血圧低下
- 静脈怒脹
- チアノーゼ
- 動悸
- 冷汗
急激かつ広範囲に肺塞栓を生じた場合
エコノミークラス症候群の原因
- 静脈血の鬱帯(うったい)
- 長時間同じ姿勢で居続けること
- 鬱血性心不全
- 下肢静脈瘤
- 血液凝固の亢進
- 脱水
- がん
- 手術
- エストロゲン製剤の使用
- 抗リン脂質抗体症候群
エコノミークラス症候群の統計
- 日本の年間発症数
- 約4千
- 好発年齢
- 高齢
エコノミークラス症候群の予防法、対策法
- 長時間にわたって同じ姿勢を取らない。時々下肢を動かす。着席中に足を少しでも動かす。
- 長期臥床を余儀なくされる場合、長時間の手術を行う場合は、弾性ストッキングや空気式圧迫装置を用いて血液のうっ滞を防ぐ。
- 適量の水分を取る。飛行機内では客室乗務員を呼び出して、水を持ってきてもらう。ビールなどのアルコール飲料、緑茶・紅茶・コーヒーなどカフェインを含む飲み物は利尿作用があり、脱水を引き起こす恐れがあるため避ける。
- 下肢静脈に血栓が存在する場合には、肺に血栓が飛ぶのを防ぐために下大静脈フィルターの留置が検討される。
エコノミークラス症候群の検査
- 経食道エコー、心エコー
- 心電図
- 線溶系
- 造影CT
- 動脈血液ガス分析
- 肺血流シンチグラム
- 肺動脈造影
エコノミークラス症候群の診断
臨床症状からエコノミークラス症候群を疑います。
確定診断には画像検査が用いられます。
画像検査で肺血流の不自然な欠損や血栓の存在が証明できれば、診断は確定します。
エコノミークラス症候群の治療法、治療薬
- 血管内治療法(IVR)
- 血栓溶解療法
- 血栓溶解剤
- ウロキナーゼ
- 組織プラスミノーゲン活性化因子(tPA)
- 抗凝固療法
- 手術療法
エコノミークラス症候群の予後、術後
エコノミークラス症候群の死亡率は10〜30%です。
死亡例の多くが発症直後の突然死です。
治療が成功すれば生命予後は良いですが、症状消失後も再発のおそれがあり、抗凝固療法を続ける必要があります。
再発した場合はさらに死亡率が高く、悪性疾患、高齢、入院、寝たきり、閉塞性肺疾患などが危険因子(リスクファクター)となります。
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