国選弁護制度
国選弁護制度とは
国選弁護制度(こくせんべんごせいど、国選弁護人制度)とは、刑事訴訟手続において、被疑者・被告人が貧困などの理由で私選弁護人を選任することができないときに、国がその費用で弁護人を付けることによって、被疑者・被告人の権利を守ろうとする制度です。
国選弁護制度によって就任する弁護人を、国選弁護人といいます。
国選弁護制度の分類
- 被告人国選弁護(起訴後)
- 被疑者国選弁護(起訴前)
国選弁護制度と憲法との関係
日本国憲法は第37条3項で、「刑事被告人は、いかなる場合にも、資格を有する弁護人を依頼することができる。被告人が自らこれを依頼することができないときは、国でこれを附する」と定めています。
したがって被告人国選弁護は、憲法上必須の制度であり、被告人からすればその依頼権(国選弁護人選任請求権)は憲法上の権利となります。
被告人国選弁護
被告人は、貧困その他の理由により私選弁護人を選任することができないときは、裁判所に対し、国選弁護人の選任の請求をすることができます。
その際の手続は、必要的弁護事件か任意的弁護事件かによって異なります。
- 必要的弁護事件
- 法定刑が死刑または無期あるいは長期3年を超える懲役あるいは禁固に当たる事件、公判前整理手続あるいは期日間整理手続に付された事件または即決裁判手続による事件。弁護人がいなければ開廷することができない。このような必要的弁護事件については、既に私選弁護人が選任されている場合を除き、裁判所は国選弁護人を選任しなければならない。また、被告人の請求がなくても、弁護人がいないときや、弁護人がいても出頭しないときは、裁判長は職権で国選弁護人を付けなければならない。
- 任意的弁護事件(必要的弁護事件以外の事件)
- 任意的弁護事件(必要的弁護事件以外の事件)については、被告人が国選弁護人の選任を請求するためには、資力申告書(自己の現金、預金などの資産を申告する書面)を提出しなければならない。資力が政令で定める基準額(50万円)に満たないときは、そのまま選任請求ができるが、基準額以上の場合は、いったん、弁護士会に対して私選弁護人選任申出の手続をしなければならない。弁護士会に、弁護人になろうとする人がいないときや、弁護士会が紹介した弁護士が被告人の私選弁護人の受任を断ったときは、被告人は国選弁護人の選任請求ができる。このほか、被告人が未成年者であるとき、被告人が70歳以上であるときなど、特に保護を必要とする場合には、裁判所は、職権で(被告人の請求がなくても)国選弁護人を選任することができる。
被疑者国選弁護
被疑者(起訴前)の国選弁護の制度は、被告人(起訴後)の場合と異なり、対象となる事件が一定の重い事件に限られており、かつ、身柄の拘束(勾留)を受けている被疑者に限られています。
したがって、逮捕により留置されている状態の被疑者は対象になりません)。
また、必ず資力申告書の提出が必要となります。
すなわち、法定刑が死刑または無期あるいは短期1年以上の懲役あるいは禁固にあたる事件について、被疑者に対して勾留状が発せられている場合で、被疑者が貧困その他の理由により私選弁護人を選任することができないときは、裁判官に対し、国選弁護人の選任の請求をすることができます。
被疑者が国選弁護人の選任を請求するためには、資力申告書を提出しなければなりません。
資力が基準額(50万円)以上の場合には、弁護士会に対し私選弁護人選任申出の手続をしなければならないことも、任意的弁護事件における被告人の国選弁護人選任請求と同様です。
このほか、被疑者に対して勾留状が発せられ、かつ、これに弁護人がない場合において、精神上の障害その他の理由により弁護人の必要性を判断することが困難である疑いがある被疑者について、必要があると認めるときは、裁判官は職権で国選弁護人を付けることができます。
国選弁護人選任の手続
裁判所(または裁判長、裁判官)は、被告人・被疑者に国選弁護人を付すべきときは、日本司法支援センター(法テラス)に対し、国選弁護人の候補を指名して通知するよう求めます。
日本司法支援センターは、この求めがあったときは、遅滞なく、国選弁護人契約弁護士の中から、国選弁護人の候補を指名して裁判所に通知します。
裁判所は、この指名された候補者を国選弁護人に選任します。
候補者の弁護士が選任されると、日本司法支援センターは、契約に基づき、その弁護士に国選弁護人の事務を取り扱わせます。
国選弁護人の報酬・費用などは刑事訴訟の訴訟費用となるから、有罪判決の言渡しがあったときは、原則として、その全部または一部が被告人の負担となります。
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